2026.07.13

就業規則(しゅうぎょうきそく=会社のルールブックのようなもの)を作ったことのある経営者の方から、こんなお話をよく聞きます。「設立した当初に社労士に頼んで作ったけれど、その後は机の引き出しにしまわれたままで……」と。
就業規則は、作ることがゴールではありません。会社の状況や法律の変化に合わせて、定期的に見直していくことが大切です。今日は、就業規則の見直しが必要なタイミングと、確認しておきたいポイントについてお話ししたいと思います。
就業規則は、会社と従業員の間の「働くうえでのルール」を定めたものです。これが実態とずれていると、いざというときにルールとして機能しなかったり、法律の要件を満たさない状態になったりすることがあります。
たとえば、数年前に作った就業規則に「育児休業(いくじきゅうぎょう=子どもを育てるために仕事を休む制度)は1歳になるまで取得できる」と書かれていたとします。しかし育児・介護休業法はその後改正され、現在は子どもが2歳になるまで延長できる場合があるなど、制度の内容が変わっています。古いままの就業規則では、従業員が正しい権利を理解できない状況になりかねません。
また、常時10人以上の従業員を雇用している会社は、就業規則を作成・変更した際に労働基準監督署(ろうどうきじゅんかんとくしょ=労働に関する法律が守られているかを確認する行政機関)へ届け出る義務があります。内容を変えたのに届け出ていないケースも、相談のなかでよくお見かけします。
就業規則の見直しには、大きく分けて「法律が変わったとき」「会社の状況が変わったとき」の2つのきっかけがあります。1つずつ見ていきましょう。
法律が変わったとき
労働関連の法律は、数年に一度のペースで改正されています。育児・介護休業法、労働基準法(ろうどうきじゅんほう=働くうえでの最低限のルールを定めた法律)、パートタイム・有期雇用労働法など、会社のルールに直接影響する法改正が続いています。法律が変われば、就業規則もそれに合わせて変更する必要があります。「法改正があったと聞いたけれど、うちの就業規則は大丈夫かな」と感じた時点で、早めに確認することをお勧めします。
会社の状況が変わったとき
採用人数が増えた、パートタイムや契約社員など雇用形態(こようけいたい=正社員・パート・契約社員など、働き方の種類)が増えた、テレワークを導入した、新しい手当を設けた——こういった変化があった場合も、就業規則の見直しが必要です。実態と書かれている内容がかけ離れていると、後々のトラブルの原因になることがあります。
また、「特に大きな変化はないけれど、作ってからもう5年以上たつ」という場合も、定期的な点検をお勧めします。少しずつ積み重なった法改正や、気づかないうちに生まれた実態とのズレを、まとめて整理する良い機会になります。
この記事を書いている社労士です

就業規則は作ったまま放置せず、法律の改正や会社の変化に合わせて定期的に見直すことが大切です。見直しのタイミングは「法律が変わったとき」と「会社の状況が変わったとき」の2つが目安で、育児・介護休業の規定やハラスメント防止措置、テレワーク関連のルールなどが主なチェックポイントです。就業規則は会社と従業員の双方を守る土台であり、会社とともに育てていくものです。お気軽にご相談ください。
特定社会保険労務士/キャリアコンサルタント
山本 美紀
ミッシュ社会保険労務士事務所 代表/元教師の教育型労務コンサル
最終更新日:2026年7月13日
初回相談無料
では、実際にどんな点を確認すればよいのでしょうか。社会保険労務士に相談する前に、まずは以下の項目を見渡してみてください。
「うちはこんなに細かく決めなくても大丈夫」と思われるかもしれません。ただ、ルールが明文化されていないと、問題が起きたときに会社も従業員も判断の拠りどころを失ってしまいます。ルールが整っていることは、会社を守ることにも、従業員が安心して働くことにも、つながるのです。
あと、最近お問合せや、就業規則の改定依頼が多いのが、「休職・復職」規定です。
社員がメンタルヘルス不調になり、会社を休むことになった・・・・「いつまで休んで、いつから復帰になるのか。」「そもそもルールを決めていなかった。」「どういうプロセスを踏めばよいか。」「何を約束しておけばよいか。」・・・・。
といったように、会社で初めて休職者が出て慌てることも少なくありません。曖昧なまま休職期間に入ってしまうことで、ますます会社と休職者の間でのコミュニケーションは取りづらくなり、トラブルになるケースも見受けられます。
「備えあれば憂いなし」— 休職・復職についてのルールづくりは、相談・対応件数が豊富な社会保険労務士にご相談ください。
就業規則を変更するとき、一点、大切なことをお伝えしておきます。
就業規則の変更が「従業員にとって不利益な変更」にあたる場合、原則として従業員の同意が必要です。たとえば、これまで支払っていた手当を廃止する、休暇の日数を減らす——といった変更は、一方的に会社が決めることはできません。変更の内容によっては法律上の手続きが必要になりますので、変更を検討しているときは、事前に社会保険労務士に確認することをお勧めします。
また、就業規則は作ったあとに従業員へ周知(しゅうち=みんなに知らせること)することも、法律で定められた義務です。冊子にして配布する、社内の掲示板や共有フォルダに置いておくなど、いつでも確認できる状態にしておいてください。従業員へ周知して初めて就業規則の効力は生まれます。
顧問先の経営者の方からも、「就業規則があることは知っているけれど、中身を読んだことがない」「どこに保管しているか分からない」というお話を聞くことがあります。まずは現在の就業規則を手元に出してみるところから始めてみてください。
就業規則は、一度作れば終わりではなく、会社と一緒に育てていくものです。法律の変化、会社の成長、働く人の多様化——それらに合わせて、少しずつ整えていくことが大切です。
「うちの就業規則、最後に見直したのはいつだろう」と思い当たる方は、ぜひ一度点検してみてください。会社を守ることと、従業員が安心して働ける環境を整えることは、どちらかを選ぶものではなく、両立できるものです。就業規則の見直しは、その両方に向けた一歩になります。
昨今は、特に法律の改正も多く、法改正に対応した最新版の就業規則を備えておかなければ、せっかく作った会社のルールブックも役に立たず、かえって労使トラブルのもとに・・・なんてことにもなりかねません。
内容に不安がある場合や、どこから手をつければいいか分からないという場合は、お気軽にご相談ください。一緒に考えていきましょう。
参考:厚生労働省「就業規則について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html
参考:厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533.html
参考:厚生労働省「パワーハラスメント対策について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/powerharassment/index.html
この記事は、社会保険労務士として日々の労務のご相談のなかで実際にお受けするご質問をもとに書いています。最新の法令や個別のご事情については、お気軽にご相談ください。
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